特集2
障害児・者の親の思いをどう支えるか。

 ピア大阪では、障害児・者の親のサポートを進めていくために、初の試みとして11月に『障害をもつ子の親のピア・カウンセリング講座』を開催しました。11月19〜20日と1泊2日で安積遊歩さんによるピア・カウンセリングセッションを行ない、11月22日には山浦孝臣さんによるセッション、障害児の制度の学習、障害当事者の思い、障害児の親の思いという講義を行ないました。今後のピア大阪での親支援に向けて大きな参考になったこの企画について、安積遊歩さんから寄せられた文章と参加者からの感想文を掲載します。
 なお、文中、ピア・カウンセリングとコウ・カウンセリングという二つの表現が出てきますが、コウ・カウンセリング(再評価カウンセリングとも呼ばれる)とは上下関係でなく対等な立場で聴き合うという、ピア・カウンセリングの元になった手法のことです。

「親のピアカウンセリングを通じて伝えたいこと」  安積 遊歩(あさか ゆうほ)

はじめに

 ピアカウンセリングは立場や特質を同じくするもの同士の間で、お互いを効果的に助け合うことを目的としておこなわれるものです。1960年代の後半に、アメリカのアルコール依存症の人たちの間で始まりました。それが徐々に、さまざまな分野に広がり、1980年代のアメリカでは政治的な背景(難民等)や、職業的な背景(医療関係者や教育従事者等)を同じくする人たち、または社会的立場(障害をもつ人や、親同士等)を同じくする人たちなど、広範囲にその方法が活用されていました。
 私は1980年代に入ってすぐ、アメリカでは障害をもつ人たちの間に、対等に聞きあい、自立を目的としてサポートし合える方法論があると知りました。いつかそれを勉強しようと思っていたわけですが、83年に実現したのです。障害をもつ人たちのためのピアカウンセリングは、バークレイのCILを中心に、アメリカ中でおこなわれていました。それを勉強したいという思いを、ダスキンインダストリーが主宰していた米国障害者リーダー研修プログラムに応募して、バークレイでの半年の研修を受けたのです。


1.自立生活センターから始まったピアカウンセリング

 障害をもつ人同士のピアカウンセリングは、漠然としたサポートをいっているわけではなく、お互いの自立を目的とするという、明確な目標があります。その当時ピアカウンセリングを行うための機関として、全米に300箇所くらいの自立生活センターがありました。自立生活センターは、当事者による、当事者のためのサービス提供機関で、その中の重要なサービスの一つとして、ピアカウンセリングが提供されていました。日本でも1986年に第1号の自立生活センターが八王子に作られました。私自身も、その設立に関わったメンバーの一人でした。その後20年がたち、現在国内に自立生活センターは100以上を数えるまでになりました。その100以上のセンターの共通のプログラムとして、そしてまた自立生活センターの根幹を成すものとして、ピアカウンセリングは重要な位置を占めています。
 私は自立生活センター発足当時から、ピアカウンセリング部門を私が中心となって担当してきました。在宅や施設にいる障害をもつ人が、地域の中で自立しようとするときには、まず、さまざまな社会性を奪われてきたという現実と直面しなければなりません。そのために私は、自立生活センター発足後すぐに、自立生活プログラムというマニュアルを作りました。それは、在宅や施設の障害をもつ人たちに対して、私自身の体験や、バークレイでの学びに基づいて、自立生活プログラム(ILP)を進めるためのマニュアルでした。しかし、このマニュアルが出来ても、その本を使って障害をもつ仲間達に、自立生活の楽しさや素晴らしさ、そして困難をも分かち合えるピアカウンセラーを養成しなければ、自立生活は広がらないということが、明らかになりました。そのためにピアカウンセリング養成講座を企画し、ピアカウンセラーの養成を始めたのです。


2.自立をサポートするピアカウンセリング

 障害をもつ当事者のための当事者によるピアカウンセリングは、ここ20年障害をもつ人の自立生活の実現に、大きな力を発揮してきました。まず、ピアカウンセリング講座では「聞く」ということを徹底的に学びます。「聞く」ということは、他人の声や気持ちを聞く以前に、自分の気持ちをピアカウンセラー自身がどれだけ聞いているかに気づくところから始めます。第一回目の集中講座は全国から20人近い障害をもつ人が集まりました。そのほとんどが既に自立していた人たちでしたので、なぜ自分は自立したのか、自分にとって自立とは何なのか、あるいは自分の障害は自分の人生にとって、どんな意味と混乱をもたらしているのかを、お互いの話を聞きながら、それを語るということで自分自身に気づいていく時間を、たくさんたくさん持ちました。
 私はその頃、お互いに対等なピアカウンセリングを持っていくためには、どんなカウンセリング理論が有効なのかを模索して、再評価カウンセリングという方法に行き着いていました。再評価カウンセリングは、お互いの話を聞くというよりは、気持ちに焦点を当ててその気持ちの解放をきちんと受け止めたり、引き出したりすることが大切という理論を持っています。過去にいっぱいの傷ついた思いを心の中にため続けると、自分がなにをしたいのか、どう生きていきたいのかを考えられなくなるということで、その傷を癒すための、笑いや涙、震え、あくびなどを十分認め許しあうという聞き方を、ピアカウンセリングの中で、大いに力を発揮してくれました。傷ついた過去から自由になった仲間たちが、少しずつ自立をはじめていったり、また、集中講座のみならず、長期講座、養成講座が開かれ、各地のセンターに聞くことを学んだピアカウンセラーが働くようになってきました。現在では自立生活センターによっては、肢体不自由の障害をもつ人のみならず、視覚、聴覚、精神などの障害別を超えてのピアカウンセリングも試みられています。


3.障害をもつ子の親のためのピアカウンセリング

 私はそれを広げてきた先駆者として、現在は第一線からは引き、今度は障害をもつ子どもの親のためのピアカウンセリングを少しずつおこなっています。
 1996年、遺伝的な障害をもつ私は、自分と同じ障害をもつ娘の妊娠と出産をはたしました。今まで、遺伝的な障害をもつ女性は、ほとんどの場合、その出産をあきらめさせられ続けてきました。しかし私は、ピアカウンセリングと、その基礎となっている再評価カウンセリングを使って、無事に妊娠、出産を実現することができました。つまり、私たちが生きるということは、効果的な助け合いのネットワークをつくっていくことが重要なわけで、そのネットワークを実現するためにさまざまな不安や恐れから「聞いて」もらうことで自由になることが出来たからです。
 最初は、私自身が代表を務める国立の自立生活センター「援助為センター」で、私自身と同じ障害をもつ子どもの親たちと共に、5回と回数を決めておこないました。その後、知的障害児をもつ親を交えたり、セミナーという形で一般の人も巻き込んで、障害をもつ子どもの親であることの喜びと困難を分かち合うことを進めてきました。地域的に関東がほとんどでしたので、今回がはじめての大阪での試みとなりました。


4.障害をもつ子どもの親たちとの大阪でのピアカウンセリング

 ピア大阪から障害をもつ子どもの親たちのピアカウンセリングをおこないたいので、どのように進めたらよいだろうかという話があったのが、今年の夏でした。その後も電話では何度か相談にのっていたのですが、初めての試みということで、私のほうからリーダーシップをとってもいいということを提案しました。というのも、「聞く」というこ
とを徹底的に伝えるためには、まず自分自身が自分の障害にくつろいでいることと、自分と自分の子どもとの関係にリラックスしている人がモデルとなれたら、と考えたのです。もちろん聞きあう中で、誰でもが良い聞き手になれますが、それを学ぶ最初のときに立ち会いたいという思いが湧いたのです。大阪で集まったメンバーの子どもたちの障害は、ほとんどが知的障害でした。私自身の障害とは少し違ってはいますが、私にとっての障害の認識は社会的存在としてどれだけサポートを得ているか、得られる状況を作っているか、というところにあります。その観点に立てば障害別にこだわる必要はほとんどなくなるのです。助け合う社会を作るというところに立脚して話を聞きあったことで、みんなの心がつながって、暖かさと希望が共有され、そして将来への展望がそれぞれに少しずつ見えた豊かな会であったと思います。私自身にリーダーシップをとることを認めてくれたピア大阪の皆さん、受講者の皆さん、楽しかったですね。ありがとうございました。




親のピアカン講座参加者感想文


「障害をもつ子の親のピア・カウンセリング講座に参加して」
     阿曽沼裕子(脳性マヒ1級と知的障害Aの13歳男子の親)


 13歳の重度重複障害の息子が生まれて以来、泊りでの研修会(講座等)には一度も参加したことがなく、今回の講座も最初は泊りなので「どうしようかな!?」と迷ってしまいましたが、安積遊歩さんのお話は以前に一度聞かせてもらったことがあり、その時「すごい人がいるんだな!」とものすごく勉強させてもらったので、もう一度、ぜひ学びたいと思い参加させてもらいました。
 障害児を育てるということは、やはり、今の社会状況の中では、かなりの抑圧があり、正直、並みの子育てではありません。
 私は、自分の子ども時代に学校生活の中で、障害のあるお友だちがいなかったので、いきなり障害児の親になったことで、子どもと自分、家族の将来を悲観し、とても悩み苦しみました。障害のある人たちの暮らし、生き方を少しでも知っていたら、ここまで悩み苦しむこともなかったのだろうと今では思っています。
 安積遊歩さんのコウ・カウンセリングは、互いに思いを言い合い、聴き合うという方法で、人はどんなに辛いことも、人に聴いてもらうことで心が救われます。私も息子の障害受容に4年という長い年月がかかってしまいました。それでも、今、私なりに障害受容ができているのは、私がしんどい時に、私の思いに耳を傾け、聴いて下さった人たちがいたからです(アドバイスなどなくていい…ただ、共感してもらえるだけで…)。そのことがどれだけその人を前向きな方向に導いてくれるかわかりません。
 今回のコウ・カウンセリングで、障害のある子のお母さん、お父さん、きょうだいの立場の方、障害のある当事者の方々の本音の思いを聴かせてもらい、どの人もみな、前向きに生きていかれてるお話、姿に、励みとパワーをもらいました。
 山浦孝臣さんのセッションも、心が解放されたようで、とても楽しかったです。
 石田義典さんの“障害者自立支援法”についてのお話も、とても勉強になりました。
 姜博久さんのお話も聴き入ってしまいました。
 北村佳那子さんの高校生活のビデオは見入ってしまい、北村惠子さんのお話からは、先輩の障害児のお母さんから学ぶことがたくさんありました。すごく良かったです。
 本当に充実した内容の講座でした。そして、人との出会いに…心からありがとうございました。次の講座も楽しみにしています。


「ピア・カウンセリング講座を受講して」
     谷口洋子(知的障害Aの25歳女性の親)

 赤い車椅子に乗って登場!の安積遊歩さん、かわいい!と思った。遊歩さんの自己紹介を聞き、すごくしっかりした女性、と第一印象にプラスされていった。受講生の自己紹介の後、初めて会った人と手を握り合って見つめあう…から始まった。もちろん私にとっては初めての体験。さて?これからどんなことをさせられる?のだろうと少し不安だった。同時に期待感もあった。
 案の定、遊歩さんの話にどんどん引き込まれていき、内容も頷くことばかりだった。抑圧というプレッシャーの中に封じ込められた感情は知らず知らずのうちに蓄積されストレスになっていくということも改めて認識させられた。自分の想いを言葉に出して話す。その想いをじぃーっと聞いてくれる人がいる。なかなか日常生活の中には、有りそうで持てない時間である。
 山浦さんのピアカンは独創的で、迫力があり楽しかった。動的な感じだった。お祭り好きの私は正解!?だと安心した。姜さんの話は親に対する思いが伝わってきた。北村さんのお話は、(本格的なビデオにもびっくり!)娘さんの様子をビデオで見せていただき、娘さんに対する親の思いが強く伝わってきた。
 今回の講座に参加された方々の強さと優しさに感動し、この講座を企画されたピア大阪さんにも感謝の気持ちで一杯です。3日間ありがとうございました。
“心が便秘状態にならぬよう、心身共に元気でありたい”


「親のピアカンの感想文」
     文広恵知的障害Aの自閉症の10歳男子の親)

 先日の講座ではお世話になりました。ありがとうございました。とっても楽しい時間でした。初めて集まった時より他の保護者の人がどんなふうに考えておられるかがわかり、親しく感じさせていただきました。安積さんのセッションも初めての経験で面白かったです。今まではカウンセリングを胡散臭いものと思っていましたが、コウ・カウンセリングはお互いに負担にならないからいいなと思ったし、ピアカンがこういうふうに進むのならカウンセリングもいいもんだなぁと思いました。それに安積さんの懐の深さや、精神力の強さ、とってもカワイイ人柄にこんな素敵な人がいるのか〜と感動しました。
 講座の内容としては、山ちゃんさん(苗字忘れてしまいましてすいません)のテクニック的なものや、姜さんや北村さんのお話を先にしてもらい、そこをふまえて安積さんのセッションが実践としてあったほうが、より入りやすかったのではないかと思いました。石田さんがされた制度の勉強では、年金などの制度がわかっていなかったので勉強になりました。次の機会があれば、「障害」者にまつわる歴史なども勉強できればうれしいです。
 学校や通園施設の保護者と話をするときに、今回うかがったことが少しでも活かせて、聞ける人間になれるよう心がけていきたいです。親のピアカンが私にできるのかどうかは正直自信がなくて申し訳ないのですが、講座を続けていただくことで勉強させていただき、何らかのお役に立つことができればいいなと思っています。またメンバーもどんどん入れ替わっていっても面白いのではないかと思います。事務局様にはお手数をおかけしますが、ぜひ講座を続けていただきますようお願いいたします。


「障害をもつ子の親のピア・カウンセリング講座」
     北村惠子(脳性マヒ、小頭症レンノックス症候群、低体温症の17歳女子の親)

 2005年11月19日〜20日・22日と3日間にわたり受講しました。
 最初の2日間は、講師・安積遊歩さんからコウ・カウンセリングの手ほどきを受けましたが、細かいことはさておき、聴くことの大切さ、難しさ、うーんと唸りたくなるほど、奥の深いものだなと実感いたしました。これを自分がするとなると、生半可な気持ちでは出来ないと思うし、まず自分を知ることだなと。長いこと生きてきて、常識にがんじがらめに縛られている意識を解放していく、簡単そうで難しい。でも、本来の自分ってどんなん? パンドラの箱のようです。よく周りから好きなように生きてると言われます。今の自分に不満が在るわけでもない、だけどこのままの自分で良いのかと考えるとそうでもない、こんなこと考えると頭がこんがらがってくる。
 話は変わりますが、人の話を聞くのが苦手な私が、相談という仕事をしている。その中で、言葉の大切さを痛感している。相手の心に響く言葉、相手の気持ちを引き出す言葉、遊歩さんが参加者に7分間のカウンセリングをした時、絶妙な間隔で絶妙な言葉を発していた。凄いと想いました。この、人を引きつけ受け止める力、どこからわいてくるの?なんて想いながら、自分を出せることって良い、少しだけ出し方を知ったかな?
 2日間の講義は、じっくりとカウンセリングとはこうだよ!と教えられたような気がします。これは、まだ入口に入ったばかりかな?
 22日は山浦孝臣さんから、前回とは違い、体を使い、声を出し自分を出す。なんか日頃の鬱憤を払ったようで、気持ちすっきり、それぞれのゲーム(じゃんけん、声の掛け合い、肩をもみ合う)の中に人の気持ちの気付きがあってこれもすごーいなんて想ってしまいました。
 受講して何がかわったということではないけれど、どこか心が軽くなってた気がする。
 障害のある子の親になり、世間の常識の中で、苦しんできた苦しめられてきたと言うべきなのか、当たり前に受け止められない社会の中で、どれほど不自由な生き方を強いられてきたか。それは親だけでなく本人・兄弟姉妹までも。だからこそ受け止める場所が必要であると強く願っていた。受け止めてもらうだけで、どんなに心が軽くなるか生きやすくなるか。そんな場所のひとつが今回の講座である。これをきっかけに広がればと想う。


「障害をもつ子の親のピア・カウンセリング講座に参加して」
     向井裕子(四肢障害、知的障害、難聴などをもつ12歳女子の親)

 12年前、娘が重い障害をもって生まれてきた時、私は「親にできることはただ娘を愛することしかない」と思いました(愛し方にもいろいろありますが)。障害児の親になったことを不幸とは思わなかったし、娘がかわいそうとも思いませんでした。でも、「強いね」と世間から言われるたびに、自分は冷たい人間なのだろうかと思ってしまいました。一方で、「障害児の親は嘆かなくてはならない」、そんな世間の見方に抵抗も感じていました。娘を育てながらさまざまなことを感じ考えてきました。育っていくのは娘自身で、親は何もしてやれなくて、自分自身の人生を歩みながら娘を見守ることしかできないのだろうと思っていました。
 娘はたくましく成長をしてきました。いきいきと育つ娘を見ながら、冷たい人間だと自分を責めなくてもいいのだと思い始めた頃、あるお母さんに出会いました。彼女も「子どもをかわいそうと思ったことがない」と言いました。そして、「私のかわいい息子を差別する社会は許せない」とも言いました。そうなのです。私のいとおしい娘が「障害児」として分けられることを許すわけにはいかないのです。親はありのままの子どもを受け容れて、子どもの側に立って社会と向き合うことが必要だと思いました。子ども支援は家族支援でもあります。親支援をすることが、子どもを支援することにつながります。そして、同じ「親」同士だからこそ支えあえることがあると考えていました。
 そんな思いを抱えながら、今回のピア・カウンセリング講座を受講しました。「コウ・カウンセリング」では、私はなかなか自分の感情を出すことができませんでした。でも、他の参加者の思いをたくさん受けとめたつもりです。参加者の思いを聴きながらいろんなことを考えました。障害児の親たちが嘆くのは、「子どもが社会から差別されるから? そのことが辛いから?」、ただそれだけなのでしょうか。子どもの障害を受け容れられなかった自分を責め続けてきたお母さんもいらっしゃいました。社会が変われば親の思いも変わるのでしょうか。本当にそうでしょうか。たくさんの疑問がわいてきました。
 悩みゆれる親たちが思いを受けとめあいながら感情を解放していくこと、その中から、本来持っている力を回復していくこと。その方法の一つとして「コウ・カウンセリング」が有効だと感じました。講座で感じられた疑問の数々と向き合っていこうと思います。娘に教えられながら、親たちと思いを分かち合いながら、これからもゆらぎ考えていこうと思います。子どもが自分自身の人生を歩んでいくことができるように。


「親のピア・カウンセリング講座に参加して」
     尾崎みさ江(重度の知的障害の17歳男子の親)

 障害をもつ子の親のピア・カウンセリング講座を受講しましたが、受講することに当初はとっても悩んでいました。障害をもつ子どもの起こす行動のことで、何が原因でそうなってしまったのか、また、どうすれば解決するのか等々悩んでいたからです。かなりへこんでいたにもかかわらず、Kさんの後押しもあり冒険をすることにしたのですが、講座の目的の重さと宿泊形式の講座に不安や緊張をもって三日間を過ごしました。
 そんな中で、印象的だったことは次のようなことです。

一つ目に、安積遊歩さんのセッションで
 二人で相手の手に触れ、一定の時間を分かち合うことから始まり、次は一人が相手の話の聞き役になるのですが、これがかなり大変でした。聞き役のときは、その内容が自分の感情とシンクロして涙が出てしまったり、反対に相手に自分の気持ちを話すときになると、うまい言葉が見つからなかったり、何をしゃべったらいいのやらの戸惑いもありました。また、相手の温かい手にふれることで「大丈夫」と言われたような気持ちになり、真剣に悩んでいたことが少しだけバカらしく思えました。

次いで「抑圧」という言葉を聞いたときの衝撃
 女性であること・妻であること・障害児の親・長男の妻などなど日頃はほとんど考えることはなかったのですが、改めて考えるといろいろ思うことがありました。

三つ目に、山浦孝臣さんのセッションで
 声を出すことの意味、そしてその声のトーンによって相手にはいろいろな捉え方を与えてしまうということを教えてもらいました。
 この講座を受講して、いろいろな人の話を聞くことができ、少しだけ気持ちが楽になりました。


「親のピア・カウンセリング講座の感想文」
     岩田幸江(重症心身障害の27歳女性の親)

 私はピア・カウンセリングに対する知識がまったくなく、具体的な問題意識も持たないまま、急遽参加させていただきました。
 セッション中は戸惑いの連続でした。瞬時に自分の心を見つめてそれを言語化していくことは、大変難しい作業だと感じました。しかし、発した言葉をフィードバックしながら新たな自分と向き合えたことは嬉しくもあり、また、どこか切なく感じた時もありました。ただ、そんな体験の中、自分の思いを聞いてくれる相手の「しっかり何でも聞くよ、どんなことでもすべて受け入れるよ」というスタンスがどれほど人の心を和ませ、安心感を与えるものであるのかよくわかりました。人はやはり自分を無条件に受け入れてほしいと願い、また、それを果たすことで自分を取り戻し本来のパワーを引き出すことができるということを体験を通し実感しました。
 今回参加された皆さんがセッション中に発せられた一語一句には障害児をもつ親の熱い思いや苦悩、そしてとにかくここまで育ててきたんだという親としての自負、すべてにいぶし銀のような輝きを放たれていました。皆さんのひたむきな思いに触れられたことは私にとって大変貴重な体験となりました。
 今回このような有意義な講座を企画して下さいましたピア大阪に感謝申し上げます。


「親のピアカン講座に参加して」
     日高貴美子(知的障害B1の22歳の女性の親)

 本人や身内が障害をもつ仲間として、話を聞き合い、助け合う、このピア・カウンセリング講座を私は障害者の親として受講しました。
 そして講師の安積遊歩さんにより、初めてコウ・カウンセリングに出会うことができました。2日間のセッションで、遊歩さんのデモンストレーションを見せて頂いたり、実際に自分が行なったりして、その楽しさや難しさを体験しました。
 たった2日間で、どれだけのことが身に付くのか不安でしたが、後で送って頂いた教本を読んで理解が深まりました。本を読んでいる時、セッションでの遊歩さんの言葉や表情、手の温もりがリアルに浮かんできました。
 自分が体験して不安に思っていたことも書いてあり、ああ、これで良かったんだなと思えました。例えば、「カウンセリングを始めたばかりの人はうまく聞くことができない」「この人はすでにセッションを持ったので前より注意して聞けるようになり、こうしてだんだんとうまくなる」などの言葉です。うまく出来るように、これからもチャレンジしてみようと思います。
 私が遊歩さんや参加者に話を聞いてもらった時、いっぱいいっぱい涙が出ました。心が熱くなって、本当はこらえる必要の無かった涙が滝のように流れました。その後に、熱かった心は、安定した温もりに変わって、今も続いているようです。
 相手の瞳を見つめ、心を見つめ、聴いてあげることの大切さ、自分の話を、感情を聴いてもらうことのすばらしさを実感できた貴重な2日間でした。
 今までに私はいろんな人から助けられてきました。その恩返しの一つにカウンセリングがあるのだと思います。ありがとうございました。


「親のピア・カウンセリング講座に参加して」
     大谷実千代(知的障害B2、身体障害6級、視覚障害の19歳男子の親)

 「障害のある子の親のピア・カウンセリング講座」に参加させていただきありがとうございました。正直なところとても疲れた2日間でした。頭痛と寝不足と肩こりに悩まされました。人前ではあまり感情を出さないタイプの人間でしたが、周囲の雰囲気や他の方々のいろんな話を聞かせていただいたことで、だいぶと自分の心が柔らかくなったようです。つらくてしんどかったけれど、自分の気持ちを話せたことにびっくりしました。(ボロボロと涙を流したことは、あとで考えたらちょっと恥かしい……!)
 帰宅して息子と話をしていて気付いたのですが、今までの私と違ってとても素直に会話ができていました。
 肩の荷がおりたような気持ちです。主人や娘2人、また息子本人はそんな変化に全く気付いていないようですが……、でも私自身は少し成長(?)したようです。こういうことが「ピア・カウンセリング」なんでしょうね。
 でも、逆の立場は難しいですね。心を向き合わせて真剣に聞く、とにかく聞く、話をしている人の気持ちにそっての声のかけ方、視線の持っていき方等等、聞く側の器の大きさ、技量、知識が問われます。自分にはまだまだそんな器はそなわっておらず、何もできませんが、今回の集まりで、皆、「生きてるんや」と感じさせられました。今のこの気持ちと2日間であたえていただいた出来事を大切にしていけたらなあと思っています。本当にありがとうございました。


「ピア・カウンセリング講座に参加して」
     吉田宏史(身体と知的の重複障害の17歳男子の兄)

 今まで障害者運動や障害者の介護の場面で活動してきましたが、今回初めてピア・カウンセリングというものに出会いました。カウンセリングそのものに関しては専門家主導という感じがするところにどこか違和感をもっていて、ピア・カウンセリングもその延長線上ぐらいにしか考えていなかったのが正直なところです。
 しかし実際、安積さんの声は優しく、包み込むようで、なおかつ専門家たちの声に感じとれるような「ウラ」(専門家のプライドにかけて何とか解決(治療!?)しようとする抑圧的な態度)のない、その名の通り「ピア=同志」という感覚で話せる雰囲気が非常に心地よかったのを思い出します。互いに近付き、手を取り合い、じっと目を見つめてゆっくり強制せず想いを引き出す時間。ピア・カウンセリングがどうこうというよりも「こんなに素直にゆっくり自分のことを見つめ直しながら話す機会って最近なかったよなぁ…」と思いました。自分を抑圧せず自然に溢れ出るように自分の想いを話し、聞いてもらう。癒し合うプロセスにカウンセラーとクライアントの両方が参加しているような感覚が、普段と違う安心感を生み出していたんだと思います。
 今回「親のピアカン講座」ということで開催されましたが、私は実は親ではなく障害者のきょうだいです。ずっと以前から、障害者のきょうだいにも何か特有の問題があるのではないかと思い、その視点から親やきょうだいに対して何か支援ができないかと考えてきました。障害者のきょうだいは確かにいろいろな問題を抱えていますが、ある一定の部分はカウンセリングのような相談支援で解決できるのではないかと思っています。特に社会の偏見・差別を自身の中に内面化しているきょうだい達は特にそうです。そのような問題状況のなかできょうだいが「ピア」として、浄化・解決のプロセスを一緒に歩むことが非常に効果的なのではないかと感じました。
2日間の講座が終わって、私は心が浄化された感じがしました。本格的にカウンセラーの立場に立てば、また違う感覚なのかもしれません。しかし少
なくとも、クライアントは私が感じたように浄化され、癒されていくのだろうと思うと、ピア・カウンセリングの可能性を改めて感じました。
講座の帰り際に安積さんから「男性解放のほうもよろしくね!」と言われました。「ピア=同志」ですので、すべての人がさまざまな立場に立っている以上、その数だけ「ピア」になりえます。自分を振り返ることを続けながら、積極的にピア・カウンセリングの経験をしていこうと思っています。




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