西村幸一の「巨木を追う」― 第11弾
巨木のチカラ 野間の大ケヤキ
巨木探偵社 西村 幸一(ピアスクール2期生)
西村幸一さん
…1999年の「巨木探偵社」誕生以来、巨木を求めて早や5年。
大好評の「巨木を追う」シリーズ、どうぞ今回もお楽しみください。
けやけき木?
皆さんこんにちは。前回に引き続き巨木ドライブパート2、今回は能勢町野間稲地の大ケヤキを紹介致します。
西日本の代表的な巨木といえばクスノキですが、今回登場します巨木はケヤキです。“けやけき”(他のものよりも目立っている、すばらしい)木という意味に由来する樹木名のようで、建材としても優れた属性を有しております。
大阪にあった日本一のケヤキ
そのケヤキの二大横綱としては、山形県の市立東根小学校の校庭に生息する「東根の大ケヤキ」と、今回の「野間の大ケヤキ」が全国に名を馳せておりますが、どうやら東根の大ケヤキは二つの株が合わさった合体木のようであるため、完全な一本のケヤキの木としては、野間のケヤキが断トツのナンバーワンだということになります。ケヤキの生育には、どちらかというと東日本の気候が適しているようなのですが、なんと日本一のケヤキは大阪にあったんですね。
大阪の大いなる遺産
環境省のレポートでは、「野間の大ケヤキ」の幹周りは12.0mと記録されていますが、僕らが実測した結果は13.7mでした。とにかく大きく、かつ樹形が美しい稀有なる巨樹、未来の府民にも是非ともふれてもらいたい大阪の大いなる遺産です。
「巨木を追う」でお馴染みのクスノキはエバーグリーン、常緑樹でありますが、ケヤキは落葉樹ゆえ、もみじのチャンスがあります。本格的な落葉が始まる前、ケヤキの葉は黄色に染まります。放射線状に広がる枝にそって色づく様には、思わず目を奪われてしまうような力を感じます。
色の色?
色に限ったことではありませんが、事物にはあらかじめ力がそなわっているのだと思います。そして、その力に感応し、時に僕らの心は躍ってしまったりするのではないでしょうか。とはいえ、色が溢れかえってしまった現代においては(ネオン、看板、吊革広告、衣服等々)、色という事物の本来的な力は、かなり艶消しされてしまっているのかもしれませんが。かつて色が少なかった頃(たとえば江戸時代以前)、人はもみじや花の開花に、もっともっとハッとさせられていたんだろうなぁ。
巨木ドライブの終着点にて
黄葉の季節だけでなく、爽快な春の芽吹き、清涼感漂う夏の木陰、品格ある樹形があらわになる冬枯れと、ケヤキは四季折々に僕らを楽しませてくれます。今回のドライブで訪問したのは冬のケヤキでした。寒天の青空の下、枯葉を落とした巨大なケヤキは何も言わず、美しいというよりはむしろ気高く崇高な姿でもって、僕ら三匹を迎えてくれました。巨木ドライブの終着点にて、巨大な木という事物の本来的なチカラにふれてしまった僕らは、内側の何かが揺るがされるのを感じながら、日本の古来より続く「御神木」という文化へのリアリティをあらためて噛み締めるに至ったのでした。おしまい